マヤ文明の伝承を元に、2012年に崩壊する地球を描いた映画『2012』を見てきました。
基本的に話の内容は大方推測できることと思いますので、ネタばれも何もあったものではないですが、以下内容に触れています。
2012年に人類が滅亡するという壮大な与太話を、ローランド・エメリッヒらしい壮絶なスケールで描いた映画というのが感想です。
この映画は CG のすごさを楽しむものであって、内容の真偽について議論するものではないと思います。むしろ、真偽どころか嘘ばかりですから。この映画の言うところの地球崩壊の理由は、劇中にも出てくる以下のムービーに詳しいのですが…
2012年に人類が滅亡するというのはマヤ文明のカレンダーが2012年12月21日までしか記載していないことに依拠しているのですが、これもマヤ文明が紀元前3114年を天地創造と勝手に決めたために過ぎません。天地はその前から存在したわけで、体のよい数字遊びそのものです。
さらに、2012年に太陽、地球、月、銀河の中心(たぶんプレアデス星団?)が惑星直列することで地球にインパクトがあるとするのですが、惑星直列は今年のバレンタインデーにも起きていますし、1982年にも起きていますが、何も起こっていません。1999年には惑星がグランドクロスを作りましたが、これまた何も起きていません。
そもそも惑星直列というのは天文学的な概念ではなく占星術の世界のお話。惑星の質量と距離を考えたら、惑星が直列しようが、十字に並ぼうが何の影響もないのは当たり前。さらにひどいことに、2012年にこれらの惑星が直列すると言っている学者は誰もいない始末。
挙句の果てには2012年に太陽活動が極大期を迎えるため、猛烈な太陽嵐が地球の地軸にポールシフト(N極とS極の反転)をもたらすというのですが、観測されている太陽活動は見事な低水準期(いよいよ温暖化が止まるんじゃないかしら)。過去の地球はポールシフトも何度も体験しているけれど、この映画のように数日で起こるものでもないという有様。
とまぁ、与太に与太を重ねた与太のデパートというわけです。いやいや、映画をけなすつもりはないですよ! 予算の半分をつぎ込んだ(おかげでキャストに有名な人が見当たらない)という CG はぶっ飛んでてすごいの一言。これだけでも1800円払う価値があると思います。