ガリレオシリーズの最新長編『真夏の方程式』読了しました。
舞台は美しい海が広がる田舎、玻璃ヶ浜にある宿緑山荘。この宿の宿泊客が近くの岩場から転落死しているのが見つかった。これは単なる事故ではない──警視庁捜査一課管理官の多々良はそう直感し部下の草薙に秘密裏に捜査するよう命じる。
同じ宿には海底熱水鉱床の調査のために帝都大の准教授湯川も宿泊していた。果たして、宿泊客の死に隠された謎とは──
いやー、面白かったです。『聖女の救済』ほどには憂鬱な展開ではなく、『容疑者xの献身』ほどには緊迫していないほどよい雰囲気てツルツル読めてしまい、二つある謎解きのうち一つはすっかり騙されてしまいました。劇中にきちんとヒントが提示されているのに!!
ツルツル読めはしたものの、違和感を感じた点がないわけではありません。主人公である湯川学はこれまで子どもが苦手という設定で、論理的でない子供と話すだけで蕁麻疹が出るほどだったのですが、本作では終始子供の恭一に親切に接しており、蕁麻疹が出ているような記述もありません。
本作が映画化/ドラマ化されたらどうなるかなぁと考えながら読んでいたのですが、本作では湯川は玻璃ヶ浜、草薙・内海は東京、ということで大部分は電話でのやり取りになっており、実写化されるとしたら『容疑者Xの献身』のように大幅に脚本が変えられるかもしれませんね(※映画『容疑者Xの献身』では内海薫がワトソン役を勤めているが、原作で内海薫が初登場するのは次作の『ガリレオの苦悩』から)。
というわけで、『容疑者Xの献身』の返歌、イマ風に言うとアンサー・ソング的な本作、容疑者Xを読んだ方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。