劇場で『10 クローバーフィールド・レーン』を見てきました。
タイトルからも分かる通り、本作は怪獣・パニック映画を PoV 方式(主観視点)で描いてみせた傑作『クローバーフィールド/HAKAISHA』の関連作品で、プロデューサーの J・J・エイブラムス曰く「血のつながった映画」だそう。
荷物をかき集めて婚約者と住む家を飛び出したミシェル。婚約者からの電話に気を取られているうちに後続車に追突され、意識を失う。ミシェルが目を覚ますと、自分が足に大怪我を負い、鎖に繋がれていることに気づく。そこは、ミシェルを助けた大柄の老人ハワードが作ったシェルターで、外は放射能や化学兵器で汚染され、出ることは許されないという。ハワード、ミシェル、そしてもう一人の住人エメットの奇妙な生活がはじまる───
はっきりとは見せないながらも、明らかに地球外生命体の怪物から逃げ惑い、次々と画面が変わった前作と違い、本作の大半はハワードの作ったシェルターの密室の中で物語が進みます。共通しているのは、ハワードが恐れている何かが、本当の最後のシーンまで描かれないこと。
ミシェルが大怪我を負った原因は一体?ハワードは何を恐れシェルターを作ったのか?シェルターの外から聞こえる音の正体は?シェルターの脱出口に刻まれた「たすけて」の文字を刻んだ人は何から逃れようとしていたのか?なんだか分からないだらけ。だから怖い。これがずっとずっと続く。
違う。これじゃない。
ぼくが見たかったのは、密室サスペンスじゃない。地球外生命体とか、UFO とか、逃げ惑う人々とか、そういうのだ。トム・クルーズの宇宙戦争も、トム演じるレイが娘とともに空き家の地下室に逃げ込むシーンがある。そこにいた救急車の運転士はレイたちを快く迎えてくれたけれど、まさにそれがずっと続く感じ。
ちゃんと出てきて宇宙人!
そして、最後の最後。もう待ちくたびれたというその時にやってきます。宇宙人。時間にしてほんのわずかだけど。
シェルターから逃げ出したミシェルは、ラジオを聞いて、宇宙人と戦う決意をします。これから面白くなる!まさにそんなところでこの映画は終わるのです。
そう、まさに前作の最後で主人公たちが絶命したように、本作でも気になってしょうがないこの続きは描かれないのです。そんなところで「血はつながって」なくていいよ!