映画:トロイ(2004/米)


trojan
ブラット=ピット主演の映画『トロイ』を見てきました。古代ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩『イーリアス』を元に映画化したもので、三時間に及ぶ超!大作映画です。仕事帰りに見てきたので、二三度意識が飛びましたが、なかなか面白かったです。どっかの国の総理や大統領に見せてやりたいくらい。

古代ギリシャの王アガメムノンは強欲な王で、次々と近隣諸国を併合していました。ギリシャとトロイが和平協定を結んだ夜、トロイの王子パリスはスパルタ王メネラウスの王妃ヘレンに手を出します。パリスがヘレンを母国トロイに連れて帰ってしまったことから、メネラウスはギリシャの王アガメムノンにトロイを攻め立てて、妻を取り返したいと持ちかけます。アガメムノンは、トロイとの関係が和平であることを快く思っていないようで、これを機にトロイを攻めようと考えます。こうしてトロイ戦争が始まります。ブラピ扮するアキレスは、ギリシャの一兵士で、アガメムノンを嫌っており、命令には服しません。ギリシャとトロイの戦いの中で、パリスの兄ヘクトルがアキレスの従兄弟を殺してしまったため、アキレスはヘクトルを憎み、決闘の末殺してしまいました。こうして、憎しみが憎しみを呼んで行きます…。

人を殺せば、死者の家族に恨まれ、家族は復讐し、殺されてしまえば自分の家族が復讐する、というこの『復讐の連鎖』はアメリカとイラクの関係を彷彿とさせていました。映像はかなり正確に作られているらしく、長槍と接近戦では短い剣を使うギリシャ兵はかっこよく描かれています。剣を持ち替えながら、軽々と攻撃を交わして敵を殲滅するブラピはかなりかっこいいので、一見の価値ありだと思います。有名なトロイの木馬も出てきます。

以下原作との間違い部分なので、読み飛ばす方は読み飛ばしてください。原作がある以上、この作品も原作との違いを指摘される運命にあります。イーリアスはギリシャ神話に則っているので、アキレスの母親は女神であり、あちこちに神様が出てくるのですが、この映画では神話部分はごっそりカットされています。そのため、アキレスの弱点が踵であり、だからこそ打たれて苦しんだのだということがさっぱり生きてません。アキレスは、巫女であるプリセイスに「神様なんてどこにいるんだ、眼には見えないだろう」と言ってのけてしまい、完全に生身の人間として描いたようです。そのため神秘性はまったくありません。また、トロイの木馬のエピソードの中で、アキレスとプリセイスのロマンスはきわめてちっぽけな存在であり、ここまで取り上げるほど大きなものではないようです。

おでの独断と偏見に基づいた結論:とは言いつつも、アキレスが復讐の連鎖を自覚してぼやくところや、トロイ兵に止めを刺そうとして「息子が待ってるんだ」と言われて、逃がすのを見ていると、今、この時期に公開する意味はあったのかな、と思います。小泉とブッシュもよく見て勉強しろ。


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