16日発売だっていうのに、なぜかどこにいっても二日も早く売っているDVD『ラストサムライ』を買ってきました。もう映画館でもかなり何度も見ているのですが、こういう歴史ものだとどこまでが史実と合っていて、どこからが明らかにおかしいのか、ということが気になってしまいます。
映画作品に対する感想・批評が読めるサイト『CinemaScape 』でいろんな人の感想を見ていると、どうも次のような点が怪しいようです。
・小雪演じるタカはまったく人妻らしいくない。歯も黒くないぞ
・鉄砲伝来から300年も経ってるのになんで武士の武器が刀なんだよ。
・ちゅうか映像の力がまったくない。音楽の力に頼りすぎている。
・いつまで咲いてるんだよ、桜。あの椰子の木はなんだ? 突っ込み始めたら切りがない。
というようなことが挙げられるようです。
英語の問題については、DVDの中で監督による音声解説で「大名の中には積極的に欧米の文化を取り入れるべく英語を学んだ者たちがいた」と解説されています。「大名」自らが学んだかどうかはともかくとして、まぁ、そうなのでしょうね。ただ、天皇が日本人である家臣に呼びかけるところまで英語でしゃべったのは確実におかしい。ここはハリウッドの悪しきリテラシーが働いていると言えるでしょう。
頑なに刀にこだわり、大村大臣率いる鉄砲隊に馬と刀で突っ込むラストシーンにはすごい違和感を感じていたので、これは納得。鉄砲相手に近接武器で挑んだって勝てるわけないんだもん。孫一の鉄砲隊を例に挙げるまでもなく、とっくの昔に武士は鉄砲を持つようになっていたわけです。まぁ、武士と言えば日本刀を思い浮かべますし、イメージを大事にしたかったのはわかりますけどね。同じような理由でズウィック監督は「忍者については詳しい文献が存在しない」から自由に描けた、と解説しています。自由に描くなよ…。
映像の力がない、とは思わないんですよね。事実、雪が解けて川になっているシーンでうまいな、と思わされてしまった自分がいたので。乱戦シーンはさすがの迫力ですが、でも細かいところをついていけば限りがないと。確かに元老院から退けられ、東京から吉野に戻り、再び東京で大村と戦い死を迎えるときまでずっと桜が咲いてるなんてどこでもドアがなければ無理だし、日本で撮影できなかったから椰子の木が映っちゃったり、裸子植物多すぎだったり、ハンス・ジマーの音楽を前編に流してごまかしたりしてる感は否めません。音楽はとってもいいんですけどねぇ。タカの歯の色についてもイメージを重視した結果と言えるでしょう。だって、歯が黒かったら欧米人も現代の日本人ですらも、タカに美しさを感じられないんだもん…。(´・ω・`)
結論:ラストサムライは[侍]のイメージを伝えるために作り上げた虚構である。とりあえず楽しめたから、これでいいや( ´∀`)。