この記事は WordPress Advent Calendar 2015 の13日目の記事でもあります。なんとか nukaga さんからバトンを受け取りました。さて何を書こうかな、と思った時に、僕にしか書けないことを書いたほうがいいのかも、と思い、リリースリーダーを勤め、このほどリリースした WordPress 4.4 ができるまでのことを書いてみようと思います。
リリースリーダーの決定
英語版(本家)のベータ1が出る頃に、tai さんが次のリリースリーダーを確認してくれます。
Tai さん
“順番的におでさんですが、ご都合はいかがでしょう?”
順番的にぼくだそうです。ぼくがリリースリーダーになるのは3.2、3.8に続き2年ぶり3回目です。お声がけいただいた時は仕事の山場だったので悩みましたが、一番忙しい正式リリース時期(12月上旬)は落ち着いてるはず、と思って引き受けました。
実際はぜんぜん落ち着いてませんでした。
日本語版独自ファイルの更新
- readme.html
- wp-config-sample.php
- /wp-content/plugins/wp-multibyte-patch
3.8の頃は3ファイルとプラグインだったので、この間に1ファイルだけ減ったことになります。multibyte patch は tenpura さんに頑張っていただくので、ぼくは readme.html を更新。バージョン番号に加えて、WordPress の動作環境を更新しました。地味!(ちなみにファイル更新は Subversionで。足したり消したりと苦労の後だけ残りました)
glotpress で日本語訳を進める
日本語訳は glotpress にて共同作業をします。
glotpress では、WordPress.org のアカウントを作ってログインすれば誰でも翻訳を提案することができます(suggest)。この提案を承認・却下(approve / reject)できるのが、Translation Editors(翻訳編集者でいいのかな?)と呼ばれる人たちになります。
glotpress はもともとコアと呼ばれる WordPress 本体の翻訳のみに使われていました。今では テーマやプラグインの翻訳にまで広がっています(取り込まれる順番は様々な条件を加味したスクリプトで決まっているそうなので、がんばって更新しましょう!)ので、Translation Editors に掲載されている人たち全員がコアの翻訳を承認できるわけではないのがややこしいですが、ともかくお使いの WordPress のダッシュボードにある 「WordPress について」→「クレジット」の翻訳者にある人たちが頑張ってくれた方たちです。
特に、Caseyjp さん、hinaloe さん、tg29359さんからの suggest がとても多くて、承認している際にそのがんばりがとても目を引きました。ありがとうございます!
コアの翻訳については、WordPress 日本語版を使う方誰もが目にするということもあり、ガイドラインや glossary を設けて一定の翻訳の質を保つことにしています。というわけで、最近新たに翻訳に参加してくれた方たちにも早く独り立ちしてもらえるようにビシバシフィードバックさせてもらいました。
こうして、String Freeze と呼ばれる、「もう翻訳文字列追加しないよ」という日を迎えたわけですが、今はようこそ画面(WordPress x.x にようこそ、と出る画面)の文字列は、String Freeze 後の、本当にリリース直前に追加されるんですね…。高橋くんたちが glotpress に張り付いててくれて助かりました(笑)。
日本語版のパッケージ
日本語版を含むローカル版をパッケージするためには、これまで述べてきた翻訳の他に、Release Revision と呼ばれる Subversion におけるコアファイルの状態を表す数字が必要になります。このリビジョンがないとエラーが出てビルドできませんし、英語版と日本語版の差分は独自のファイルのみでなければいけませんので、英語版がどのリビジョンでビルドされたのかは絶対必要な情報なんです。
英語版(本家)のリリース予告日であった12月8日(日本時間9日)は朝から動きをチェックしていたのですが、英語版がダウンロードできるようになっても、ちっとも Release Revision は更新されず(執筆現在も 4.4 は記載されてませんね)、WordPress build repository browser も更新されるまで随分かかりました。
やっと更新された WordPress build repository browser から revision: 35806 を入手して、ja.wordpress.org で日本語版パッケージをビルド。手元で英語版と日本語版のファイル差分をチェックして、すかさず日本語版作成チームのメーリングリストにテストを依頼しました(今やこれ全部スマホでできてしまうという…)。
自分も手元でテストし、チームメンバーからもテスト良好の結果が届いたのを見て、日本語版は無事リリースです。
この日はものの見事に平日でしたので、帰りの通勤電車でスマホ片手にリリースブログを翻訳。貢献者の集計を待って、リリースブログを投稿し、これにてリリースリーダーのお仕事 done です(マイナーバージョンも対応します)。
これはリリースリーダーのお仕事というわけではありませんが、WordPress 4.4 Master List も翻訳しました。「ひどいバージョンです、早く助けて下さい」と書き込む前に、まずはこちらを見て欲しいですね。
以上、WordPress 4.4 日本語版ができるまでの裏話をお送りしました。Codex にあるリリース作業のページが古くなっているので、その更新のためもあって今回やったことを振り返ってみたのでした。
さて、Advent Calendar の明日は misumi_takuma さんにバトンをお渡しします。
“WordPress 4.4 日本語版ができるまで” への1件のコメント
[…] WordPress 4.4 の日本語版リリースリーダーだった Odyssey さんです。 […]