なかなか見に行くチャンスがなかった映画『オブリビオン』。地元の映画館の最終日最終回に嫁と二人で見に行ってきました。てっきり宇宙人との戦いが中心になるアクション映画なのかと思ったら、三角関係にはじまり、墜落した宇宙船のフライトレコーダーに収録された謎を巡り、ストーリーは思わぬ方向へ…。あれれ、SFスリラーだったのですね…。タイトルの ”Oblivion” の忘却は記憶を消されているジャックの状況のことだと思いますが、もしかしたら「大赦」の意味も入っているのかも。
──2077年、地球は謎の地球外生命体”スカブ”との戦争に勝利したものの、荒廃してしまっていた。地表の大半は大津波と地震で埋もれ、大半は放射能で汚染され、残された人類は宇宙ステーション”テット”に移り住み、採水プラントで海水を汲み上げて資源とし、無人攻撃機”ドローン”でプラントをスカブの残党から防衛しながら、土星の衛星タイタンへと移り住む準備を続けていた。ジャック・ハーパー(トム・クルーズ)は通信士のヴィカとチームを組んで、ドローンの修理をしていた。ジャックとヴィカは記憶を消され、5年間限定で任務につくことになっていた。
ある時、ジャックは宇宙船が地表へと墜落するのを目撃し、現場に急行する。宇宙船は大破し、カプセルには生存者が入っていた。それは、記憶を消されたにも関わらずたびたびジャックの夢に出てくる、見知らぬ女性”ジュリア”だった──
まず圧倒されるのは、絶対的に美しい地球の風景。ジャックが偵察機で飛び回る風景も、ジャックたちの拠点となるタワーも、そしてアノ場所も。荒廃してるのに美しいって不思議!VFXを駆使してはいるんですけど、とてもリアリティがあるんですよね。タワーや偵察機は、これセットを組んで撮影したんじゃないかな?
夜と昼とまったく違うんだけれど、トロン・レガシーに雰囲気が似てるなぁと思っていたら、本作もジョゼフ・コシンスキーが監督してるんですね。音楽はエレクトロニカで有名な M83 を起用し、超かっこよく仕上がってます。前回のダフト・パンクといい、コシンスキー監督は映画音楽作曲家ではなくてバンドを好んで選んでる模様。
この映画、ものすごく心に残ってたのですが、それはやはり全編にわたって物悲しいテーマ曲が流れているせいなのかも。自分を犠牲にしてでも愛する人を救いたいというジャックの思いも心に訴えるものがありますね。
スザンヌ・サンドフォールが歌い上げるエンディングテーマ ”Oblivion (feat. Susanne Sundfør)” も最高の出来なんですが、きっとこの曲を聞いている最中は、このラストで本当にいいのか、と頭のなかはぐるぐるしていることでしょう。それくらい物議を醸す結末が待っています。この映画を素直に、いい映画だった、と思えない人はきっとこの結末に納得がいかないからなのでは?ということで、思いっきりネタバレになるので、だいぶ改行をして僕なりの結論を書いてみたいと思います。
結末を整理すると、物語の主人公として描かれていたジャック49号はテット内部で爆弾を爆発させて命を落とし、3年後ジュリアの元を訪れたのは砂漠でジャックと格闘し拘束から逃れた52号でした。ぼくを含めて観客が望んでいるのはジャック49号が無事ジュリアとあの湖畔で幸せに暮らす結末であって、いくらクローンとはいえ何ら感情移入していない52号とでは、そりゃハッピーエンドとは言えないんじゃないの?というモヤモヤです。
正直言って、ジャック52号は戻ってこなくてもよかったのでは?とすら思ってしまうのですが、52号が戻ってくるラストを選んだがゆえに、これだけモヤモヤし、心に残ったのかもしれませんね。なんとなく別エンディングが収録される予感がするので、きっとブルーレイも買ってしまうと思います(笑)
“映画『オブリビオン』” への1件のコメント
[…] 映画『オブリビオン』 […]