11月27日、品川の楽天タワーにて WordCamp Tokyo 2011 が開催されました。この日の前々日に妻の @eternal_tears_ の出産予定日になってまして(無事産んでくれました!)、この数ヶ月バタバタしておりあまり事前のお手伝いができませんでしたが、当日会場に行ってみると各所で引きて数多(?)で忙しく走り回り充実した一日を過ごすことができました。そんな裏方スタッフが WordCamp について思ったことを書きます。
このページを見にきてくださっている方には説明不要かもしれませんが、WordCamp とは オープンソースで作成されている世界 No.1 CMS『WordPress』のユーザーと開発者のためのお祭りです。
世界中で開催されており、日本では2008年の東京にはじまり、東京、京都、福岡、横浜、名古屋、福岡、神戸に続く9回目の開催になります。そして、日本で唯一の WordCamp 皆勤賞が私おでっせいなんですねー。これからお祭り男を自称することにします。
スタッフは7時半から集合になっていたのですが、嫁のところに荷物を届けたりして会場についたのは11時半過ぎでした。
スタッフとしてのお仕事
会場の7階につくと、nao さん、西川さんたちの歓迎もそこそこに、カフェテリアの昼食誘導にはじまり、会場から外出したお客さんの再入場の対応応援、じゅんじゅんの打ち合わせに合わせてデザイナートラックの臨時司会、そのままパネルディスカッションのパネラーまでこなし、バタバタと一日が過ぎてしまいました。め組の一員ではないのですが、なんとか立派に火消しの役目は果たせたでしょうか。
セッションの感想
前日 WordBench 東京で Twenty Eleven を使ったセッションをしていましたので、 こもりさんとたにぐちさんのセッションから自分のセッションと力点や興味の違いを楽しみながら聞かせてもらいました。また、原さんのセッションはデザイナートラックらしからぬらテクニカルさでしたが、MVCを導入してプログラマーにもわかりやすく書こうというもので、とても面白かったです(こもりさん、原さんとはやっとご挨拶することができました。Twitterではずっと前からフォローしていたのに!!)
そんなわけで、多くのセッションを聞き逃してしまったのですが、そこはUSTチームの汗と涙の結晶をありがたく見せてもらうことにします。
懇親会は同窓会に
あまりお酒を飲まないのと、基本人見知りということもあって懇親会はあまり得意ではないのですが、今回はとても大勢の人とご挨拶することができました。Twitter ではずっと楽しくおしゃべりさせていただいていたたけさんや、poyosi さんともやっとお会いできました(クッキー王子酒井さん、引きあわせてくれてありがとう!)
またCampにあわせて、北からひろまささん、akaさんが上京していたので、hibiki さん、isaki さんという WordPress 6年生たちでさながら同窓会となりました。 akaさん、日本酒ありがとうー。おいしかったよー。
WordCamp に思うこと
当日の来場者は770名を超えたとかで、 2008年にはじめて開いた Camp 東京の10倍近い人数になりました。思えば大きくなったもんだ、と思います。とても好評だったようですし、「ありがとう、Camp」というのはほんとうにその通りだなとおもうわけですが、このままではいけないな、と思うし、誰も書かないと思うので書いておきます。Camp 楽しかった、それだけでいいやと思う方はここで引き返してください。何も暗い闇の底を覗く必要はありません。
今回の Camp Tokyo 2011 は委員長が選んだリーダーを中心にコンセプトを固め、多くのボランティアを募った後もリーダーに決定権がありました。これは大勢の意見をぶつけ合っていると物事が決まらない、という反省を踏まえた体制ではあったと思うのですが、これが WordPress のようなオープンソースプロジェクトのあり方をただしく反映したものであるとは思えません。
WordCamp Planning | A Guide for Organizers にも話し合って解決していくべきことが書かれています。時間がかかると開催が危ぶまれるから、というのが理由では WordCamp を開催することが目的化していると言ってもいいでしょう。ぼくが思うのは、これは WordCamp としてやるべきではなかったのではないかということです。
WordCamp の規定が足枷となるのはこれだけではありません。スポンサーの宣伝・販促活動にも大きな制約がなされています。たとえば、地方で WordCamp を開き、地元の蔵元からお酒を提供してもらい、その場でおみやげ用に販売する、といった町興しと一体となった活動は歓迎されないようです。会社やサービスの名前を売ることが一番したいことなのに、そういったことが一番に制約されています。
WordCamp の運営費は WordCamp Foundation を通すことともなったようで、このため入金が遅延した、という話も聞きました。間違ってるかもしれませんが、海外送金を2度行う形になるでしょうから、為替手数料もバカにならないでしょう。汚い話になりますが、これだけの規模のイベントを行うにはかなりのお金が必要なのです。キャッシュ・フローの停滞はアキレス腱になりかねません。
WordCamp が大きくなってしまったが故に設けられた色々な制約は、ユーザー主体であったイベントを窮屈なものにしてしまっているように思います。この制約は WordCamp と名乗るがゆえに生まれます。
また、明るみには出ていないかもしれませんが、こうして Camp が大きくなり意見の対立が生まれたため、Camp のたびに二度とスタッフとして参加するまい、と思う人が出てしまっていることも事実です。寂しくはないですか?思いを同じくした仲間が去っていくのは。やる気(あるいは根気?)のある人だけ残ればいいのですか?
だから、今回の WordCamp Tokyo を楽しんで、自分たちもやりたいと思った方にはこうお伝えしたい。WordCampを目的化しないでください。WordCamp をやりたい、ではなく、あの楽しいイベントをやりたい、自分ならもっと楽しいイベントにできる、そう思ってください。
自分たちが何をしたいのか、それをまず第一に考えてください。そのために、1000人規模の人数を集める必要がありますか? WordCamp という名前を名乗る必要がありますか? 大事なのはイベントですか、それとも参加者ですか?
次に続くであろう人たちに、ぼくは WordCamp の後にこの話をお伝えしました。自分のやりたいことと真摯に向き合い、参加者の顔を思い浮かべてイベントを計画すれば、必ず思いを同じくする人たちがついてきてくれるでしょう。WordCamp でなくとも、スポンサーを集められるはず。WordBench でもいいし、WordCant でも WordWrap でもいいんです。ぼくも協力を惜しみません。だって、ぼく、お祭り男ですから。
“WordCamp Tokyo 2011 を経て思うこと” への13件のフィードバック
Facebookでコメントしようとしたら新アカウントで友達申請してなかった件w
もろもろおっしゃる通りです。たぶんこのあたりスタッフでがっつりやってる人が痛感してるところで、今後に反映させていくところだなと思います。最初からスタッフみんなにがっつり入ってほしかったね、っていうのは西川さんのブログにもあったし、海外送金は担当してたほうがもう冷や汗でまくりだったのでここはたぶん次回以降改善されるのではないかな・・・。
ただひとつだけ、あくまで自分の見ている範囲だけだとは思いますが、今回のCampに関しては運営上のいい意味でのバトルはあったと思うし、「もうしばらくCampはいいわーw」ってまんじゅうこわいな人はいっぱいいるけど、「二度とCampスタッフやりたくない!」って人はいないんじゃないかな、というくらいスタッフは前向きでやる気のある人たちばかりでした。それはとっても嬉しいなって。
イベントで関わる人が増えればやっぱりすれ違いや誤解は生まれてしまうものだし、それはもう組織としてどうしようもない事実だと思うけれど、僕はやり方次第ではそこはきちんと解決できることだと思うし、今回はほんとに隙間の隙間まで面倒見てくれるスタッフのおかげでそういう面も多々解決してきたんじゃないかな、と見てて思いました。
Campやるたびスタッフやりたくなくなる、なんていうのはちょっと寂しかったりするので、今回ゲストカードの紛失をゼロにできたように、スタッフ参加二度としたくないよなんて人がゼロになるようなCampにしていこうという前向きな気持ちでいきたいと思います。
でもしばらくCampはいいわーw
僕の人との関わり方として、のんき風味というかスルー力というかここはあえて見ない振りスキルというか、、(逆にodysseyのスルーしないスキルはやばいですね。怖いわw)。
内心は引っかかってます。僕が怒ってるとか不満があるのではなく、はなれていく人がいるというのが気になります。あと、楽しそうにやってる自分たちが悪い気がしてくるよ。。「なんで?」ってちゃんと聞いたり「よし!話しあおう」というのも怖いので華麗にスルーしてきちゃってますが。。。
今回は僕が揉めてるシーンではないという自覚もありましたが。
ですね!
トピック的には
・Foundation周り
・意思決定と役割分担辺り
・CampやWPイベントをどう捉えたいのか関係(規模やコンセプト)
くらいでしょうか。他にもあるでしょう。
そして、その中身には、構造的な問題とシンプルな誤解が入り混じっていると思ってますので、その辺を言語化して腑分けする時間をとりたいです。
僕は去年からですが、変化も感じますし、もっと関わりが長いと、立っている場所と視線の先が違うだろうと思うので、物事の受け止め方も、かなりすれ違っているように思います。
そういう話し合いの後、外から見るとやっぱり僕らは同じものが好きなわけで、最終的には根っこの部分は共感できて(WordPressが好きとかいう超抽象化されたものしか残らないかもしれないですが、それで別にいいと思う)、違いも言語化・認識されて、客体化される、というところまで行きたいです。大変そうですが。。
それと、コア/当日(*)の関わり方デザインとかにも繋がる話だと思うので、整理したいと思ってます。
あと、飲み会したいです。
WordPress Foundationに日本のコミュニティーからの要望とかだせるといいですよね、世界的な流れも分かるけど、日本は違うんだって。
黙って方針を受け入れるだけがオープンソースじゃないと思うです。はい。
>しょうくんさん
良いこと言いますねー。もちろん意見をいっていくことは大事ですし、WordCamp 側にも変わって貰う必要がありますね。
WordCamp 側が変わっていなければ、本文でも主張したように、ぼくは WordCamp でなくてよいと思うし、人数重視のイベントはもう良いと思っています。
メインスタッフと話がしたかったのでできなかった、とか見つけたい人が見つけられなかったという話も聞きましたし、少人数でも参加してくれた人の満足度を重視したイベントができればと思っています。
>西川さん
今までスルーしてきたがゆえに離れていく人がいたんだと思いますよ。
また、やり方次第で解決できるそのやり方が、嫌なら離れていけば?という圧力であったと思います。きっとそんなつもりはないと否定するかもしれませんが、端から見ているとそうにしか見えませんでしたね。
あ、ちなみにこれ去年から変わってません。
ぼくは皆さんより大きな組織で仕事してると思いますから、普段からそうした組織の枠組みを見てるんですけど、組織論から言えばリーダーからきちんと末端の人にまで感謝の言葉がないのは極めて問題だと思います。西川さんやうえつんは誰かにお願いをするたびにみんなにお礼を言ってましたね。小さいことでもこれはものすごく組織に効いてきます。とても大事な事なんです。
飲み会はいいのですが、ちゃんと議論できますかねぇ?w
>Kai さん
コメントありがとうございます。
当日スタッフ含めいろいろと愚痴や困ってるのに相談できないことなどは聞いていますし、メインスタッフが成功だ、楽しかったと煽れば煽るほど、言いづらくなるんじゃないかな、日本人ですし。
打ち合わせがあるからと行ってみれば、Google ビデオチャットを優先して、オンラインの人が待ってるからとぼくの意見を聞きもしなかったときには、さすがにぼくは二度とこの人達を手伝うものかと思いましたよ。
だから、二度とキャンプなんてと言う人は今回もゼロではないです。
ただ今回の件はもう過ぎたことですし、仰るとおり次回どうするかが大事です。その上で WordCamp の規定が変わっていないなら、その名前が WordCamp ではなくてもよいだろうというのが僕の考えですね。
あ~、やっぱり言うことは言っちゃうのね~w
実際、3~4000円の印刷代に50%の為替手数料が取られて結局印刷代1.5倍とか、その手数料がプラスされて入金されているわけではないのでもう一度振り込むのに通常の銀行手数料も掛かっちゃうとか、日本の個人対企業間ではごくごく当たり前な「振り込み手数料はご負担ください」が言わないとやってくれないので、手数料入れないで入金してしまうので買った商品が発送されないで、結局取りに行く交通費の方が送ってもらう送料より高くついてしまったりと、何かと問題が多かったように思いますねぇ。
自分はスタッフとしてはたいして役に立てていないので、コアスタッフがどうとか言ってしまうと色々あれがあれなので多くは語りませんが、当日スタッフと言うわけでもないのに今回委員長とほとんど会話をした記憶がありません…
で、何を言いたいのかと言うと、CMSカンファレンス with WeeklyCMS on Microsoft http://atnd.org/events/22331 よろしくね!って(勝手に人のブログで番宣w)
海外振込系は特にUstreamチームに負担かけちゃいましたよねーorz。あの機材管理っぷりはほんとに頭あがらないですはい。
あと役に立ててないとか全然ないと思いますよ! Ustream周りは詳しい人じゃないと全然わからないし、機材の受け渡しとかすさまじく貢献してると思います!
他人のコメント欄で失礼しましたw
>しょうくんさん
良かったことはどんどん書くのに悪かったことは公には言わずに、陰で言うのは日本人の悪いところですよ(笑)
せっかく海外発のツールを使ってワールドワイドにやってるんだから、いいところは見習わないと!
西川さんのところでも書きましたけど、感謝の気持ちの上意下達はうちみたいな会社でもとても大事です。末端構成員のテンションが全然違いますからね。当日スタッフであろうとも大事なスタッフの一人。ある意味一番泥臭い雑用を引き受けてくれているわけで、雑用をみんなが手伝ってオープンソースといって喜ぶのはおかしいです。それって面倒な事をアウトソーシングしてるだけでしょ?って言われても仕方がないですから。そう言われるか言われないかは心配りで決まってくると思っています。
CMSカンファレンスは何時からいけるかわかりませんけど、懇親会のほうはいきますよっ!w
まずは皆さんお疲れ様でした。
毎年関東圏の WordCamp に関わってきていますが、まあなんだかんだ波乱万丈で、なんとなく引っかかっている面があるという声も耳にしています。無事終わってよかったね!というだけではなく、ここで問題提起を言語化して話し合っていけることは、前向きだと思います。
しょうさん
もちろん、日本のコミュニティーからの要望とかだせますよ。言語の壁はありますが、そこは私などサポートできると思いますので、どんどん伝えてください(というかもちろん、今回のことは報告します)。
今回は WordCamp を WordPress Foundation のルールに基づいてやるという日本初の試みでした。ポジティブなことばかりではなかったですが、今後改善されていくことも多々あると思います(運営側でできることと、Foundation 側で対応してもらうことも含め)。今回の経験をもとに、今後 WordCamp と呼ばれるイベントをやるのか?という判断材料になるのかもしれません。
それからスタッフ構成についても、毎回の WordCamp で試行錯誤を続けている部分だと思います。スタッフ数や来場者数の変化とともに、ベストな状態を調整していくのは難しいですが、過去の経験と同じように今回の経験はきっと役に立つと思っています。リーダーシップ権限の分散が不可欠だと思うんですが、フルタイムの仕事とは違う運営体制で、一緒に仕事をしたことがあるわけではない場合も多いので、だれがどこまでやるのか(やれるのか)を、失敗も含めて毎回のイベントを通して学んでいっている気がします。
もやもやしたところは言い合ってしまうのが一番だと思うので、それができるようになっただけでも前進じゃないでしょうか。あと、言いたいことあればその人に直接言ってみる、というのも、良いかと。
えー、長くなるので後ほどブログを書きます。またじっくり話しましょう!
>Nao さん
そうですね、もっと罵詈雑言が来るかと思ってましたが、こうしてオープンな場で議論できるようになったことは良かったかと思います。
その人に直接伝えられればいいですけど、それができるでしょうか。のらりくらりとかわされて結局当日が終わったわけなんですけど(ぼくだけにあらず)。
WordCamp が目的化していて、そのために議論よりも実行優先にしているなぁというのは、ぼくは Nao さんにも感じたことです。お忙しかったでしょうし、時間のない中でやっていましたからしょうがない部分もあると思います。気を悪くしないでください。
でも、時間をかけて議論するということがこれまでの Camp でなされていたことだったし、そこが去年と今年とで大きく違ったところです。そうした議論をしている余裕がなかったというのも、今の WordCamp にまつわる規定の問題点かもしれませんね。
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